仮面ライダー鎧武 総括的なもの
無駄に角を立てることになりそうだし書かないでおこうかなーとも思ったのですが、やはり悪い意味で大きなものを残した作品ですし、終盤脱落したもののほぼ全話感想を書いたので、総括と言えるほど御立派なものではないですが書いておこうと思います。
あ、かーなーりーボロクソに書いているので、鎧武好きの方は見ない方がいいですハイ。
まあ今まで書いた感想でだいたい私がこの作品をどう思っているのかは御理解頂けるとは思いますが、以下作品データベースのテンプレ風に書いてみようかと。
【よかったところ】
役者さん。メインキャストは1名除いて演技の上手い人ばかりで、滅茶苦茶なキャラを頑張ってよく演じていました。特に佐野岳の演技力と身体能力は、こんな作品の主人公になってしまったことが悔しいと思うレベルです。もっとまともな作品で見たかった……
除く1名の小林豊も、演技は最後の最後まで怪しかったですが、雰囲気という点では戒斗というキャラに絶妙にマッチしていたと思います。チームバロンの衣装に容姿が負けていなかったのが凄いです。
アームズチェンジギミック。果物が頭に被さってそこから鎧に変形するという考えた人の正気を疑うメインギミックを、開き直ってお笑いな見た目にするのではなく素直にかっこいいデザインに落とし込んだのは素晴らしいです。毎年毎年色々考えますね本当に。
ザック/仮面ライダーナックル。描写滅茶苦茶なキャラクターが多い中、唯一ライダーになってからは最後まで真っ当なヒーローを貫いたので(序盤のインベスゲームで卑怯な真似してたとこから描写もなしに急にいい奴になったのは否めませんが)。戒斗が敵になったと知ると即寝返ったふりをして爆弾で暗殺しようとするのはおいおいと思いましたが、考えてみれば戒斗ってバ論振りかざすばかりでまともな会話できないししょうがないですね……
カチドキアームズ。見た目が非常にツボでした。平成ライダーでもかなり上位に入る好きなフォームです。戒斗との最終決戦でガンガン動いてくれたのはうれしかったですねー。
歌。JUST LIVE MORE、E-X-A、Raise Up Your Flag、乱舞Escalationと名曲揃いでした。
【悪かったところ】
脚本。とにかくこれが酷いなんてものじゃありませんでした。私は全体の展開よりもキャラクター重視で見る癖があるのですが、そのキャラクターが人格すらその場のやりたい展開に合わせてコロコロ変わり、酷い時にはその話の中で言っていることが全く違う。心境の変化やそのきっかけが全く描かれずまるで別キャラのようになる。ざっくり描いてある程度見た人の脳内補完に任せること自体は否定しませんが、キャラが大きく変わるきっかけも経緯もほぼ全て見た人の脳内補完に任せるようでは流石に脚本家の腕が素人並みかそれ以下と言わざるを得ません。
やりたい展開に合わせたその場限りの言動の一例を挙げると、終盤紘汰が晶に自分はもう人間ではないことを告白するシーン。「俺もう姉ちゃんの手料理食べられないんだ……」は佐野岳の熱演のおかげで悲壮感溢れていましたが、肝心の姉ちゃんの手料理を美味しそうに食べていたシーンが全く思い出せません。序盤に何回かあったのは覚えていますが、本当に「あるにはあったね」程度です。こういうシーンをやるなら、紘汰と晶の絆や晶の手料理が紘汰の大好物とかそういうのをもっと印象的に描くべきだったでしょう。
あと許せないのが諸悪の根源のサガラ放置、どころか紘汰がお礼まで言って、また同じような森による破滅と殺戮が繰り返される……で終わったことです。「結局最後まで敵か味方かわからなかった」じゃないだろ明らかに敵だろ何とかしろよ、と。「人間に何とかできる存在ではない」「進化に必要だから悪ではない」「人間とは全く違う倫理観で動いているから断罪はできない」という擁護をよく見ましたが、よしお前ら翔一君達と剣崎に土下座して謝ろうか。翔一君達はたとえアギトであろうと滅ぼすことなど絶対にできない、人間とは全く違う神の論理で動いている『創造神』に抗って人とアギトの可能性を見せ付けることで、人類もアギトも即滅ぼすという考えを変えさせました。剣崎は進化を司る存在で決して悪とは言えず、滅ぼすことも不可能なバトルファイトの統制者の裏をかいて我が身を犠牲にすることで、世界の滅亡、始の封印どちらの結末も拒絶しました。いくらでもやりようなんてあるんですよ。
深夜アニメのまどマギで「キュウべぇは正しいことをしているので嫌わないでください」ってやるのは御勝手にどうぞですが、仮にも日曜朝に放送する仮面ライダーでその歪んだ考えを前面に出した結末にはしないで欲しかったです。それくらいの常識はあると思っていたんですけどね……
ただ脚本家、はっきり言っちゃうとメインライターの虚淵玄だけを責めるのも酷だとは思います。脚本家が書いたものがそのまんま映像化されるのではありませんし、同じ脚本でも、今まで氏が書いてきたゲームやアニメとは違うところだらけでほぼ初めてなこと尽くしだったでしょうから。まどマギを見てオファー出してゲストやサブでの経験も積ませずメインに据えたけど、適切なフォローをしなかった(してこの様とは思いたくないです)武部Pや、脚本会議で直さなかった(直してこの様とはry)他メインスタッフにも責任はあると思います。
【結論】
見るべきところが全くないわけではありませんが(よかったところで挙げたように気に入ったところも結構あります)、総合的に平成ライダー、仮面ライダーという括りどころか、今まで見た全テレビ特撮作品の中でもダントツで最低でした。
これに比べれば、同じ平成ライダーで今まで駄目だなー微妙だなーと思ってたカブトやキバも面白いと言えるレベルです。色々面白くできそうなところはあっただけに、もったいないと思います。
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テーマ : 仮面ライダーガイム 鎧武
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